ブログ
ディスポ(使い捨て)の鍼
ブログ2013.02.07
これは役目を終えたディスポ(使い捨て)の鍼です。
私が学生の頃は刺したときに痛い粗悪品のディスポが多く、また鍼を刺したさい”治療上、響きを大事にする”という考えが主だったので、高額な高圧滅菌器と高価な使いまわしの鍼を使用するのが一般的でした。
しかしここ10年位前からディスポの鍼が主流となっております。理由としては安価になり使用感が飛躍的に向上したこと、エイズや肝炎が社会問題になったこと、使いまわしの鍼を使用する鍼灸院が敬遠されるようになったことが挙げられます。
昔は使いまわしの高価な鍼を、治療後に治療師自ら一本一本砥石で研いでその切味を己の舌の裏に当てて試す、という今となっては大変不衛生と言うべきか、魂のこもったことをしていたようです。
このディスポは専門の産業廃棄物処理にいずれ出されますが、一鍼一鍼に込めた魂とその時々の甘く苦かった思い出は、私の中から消えることはありません。